熱電冷却器のテスト技術

Thermoelectric-cooler-testing

レアードサーマルシステムズは、高い信頼性と性能を確認するため熱電冷却器の幅広いテストプログラムを用意しています。

  • 信頼性試験-熱電冷却器の機械的特性が忠実に実現されているかを把握し、厳しい環境条件でも生き残る能力をテスト
  • 機能試験-熱電冷却器が期待させれる性能を持つことを検証
  • 各種規格準拠-製品が適用される工業規格に準拠することを確認
  • 品質管理-生産ラインの最後での品質検査
     

試験合格の基準

標準的な機械試験や環境試験は、テルコーディアGR-468コアあるいはMIL-STDに沿って行います。標準的な試験には適用される全ての基準が使われません。顧客専用の環境試験がOEMの使用に基づいて行われることがよくあります。熱電冷却器の状態を確認する最も一般的な方法は、品質試験を行う前後のAC抵抗を測定することです。AC抵抗の大きな低下があれば、熱電冷却器は劣化しています。もしAC抵抗の変化が5%以上あれば不合格となります。
 

熱電冷却器のテスト法についての詳細は、以下の表をお読みいただくか、レアードサーマルシステムズのヘルプデスクに連絡してください

 

機械的試験

 

熱電冷却器が輸送中に不注意な取扱いでも影響されないことを確認。敏感なモジュール構成により通信や航空応用で使われる熱電冷却器の小型化が求められている。
 

テスト実施方法

  • 試験機の3軸の内の1軸に設置される試験治具に熱電冷却器を設置 
  • 熱電冷却アセンブリを試験シーケンスに何度も振動させる

熱電冷却器が輸送中に不注意な取扱いでも影響されないことを確認。落下試験はパッケージされた製品で常に行い、全熱電冷却器製品に適用されることもある。


テスト実施方法

パッケージされた製品はテルコーディア規格の高さから表面、端、角に向けて落とす

熱電冷却器がたとえ強い圧縮応力に耐えるとしても、せん断強度が弱く適切な設置方法が耐久性を高める上で重要。レアードサーマルシステムズは、せん断応力試験を行い、熱電冷却器が故障せずに耐えられるせん断応力レベルを求める。この試験は比較的小型の熱電冷却器で行う。もっと大きな装置は強度が高く信頼性の高い構造にできるから。shear-strength-illustration

テスト実施方法

  • 熱電冷却器をそのモジュールの治具に設置 
  • 設置された熱電冷却器の一つの面に、顧客の使用に沿ってせん断応力を加える

HALT(高加速寿命試験)は熱電冷却器の動作限界を決めることが狙い。製品開発工程の早期に弱点を同定することでコストを削減し市場への投入期間を短縮。この種の試験は熱電冷却器の故障モードやMTBFを評価する時に行う

HASS(高加速応力試験)は製造工程の不備で起こる熱電冷却器の欠陥 を検出。この試験手順はHALTに似ているが応力レベルはずっと弱い

 

テスト実施方法

  • 熱電冷却器に電源を入れ、それを高温オーブンに入れる
  • 温度変化を増すことで熱電冷却器が機械応力に晒されるHALT試験では極端な条件の下で熱電冷却器を故障させる
  • 試験解析はモジュール構成を高めるか(HALT)、潜在欠陥がまずい製造工程で起きているか(HASS)を決める

 

環境試験

 

.特別な条件で熱電冷却器を長期保存する影響を調べる。この試験は電力を加えずに熱電冷却器に熱応力を加える。


テスト実施方法

ある規格や顧客の応用要求で定められた温度と時間で熱電冷却器を保存チャンバに設置する。レアードサーマルシステムズは、次の試験を行う:
  • 低温保管試験  
  • 高温保管試験
この試験は。熱電冷却器に対して一定の高温高湿に長時間晒す影響を調べる。


テスト実施方法

予め定められた温度と湿度で保管チャンバに熱電冷却器を設置する

 

この試験は、電力状態の急変で起きる熱電冷却器への機械的応力の影響をチェックする.


テスト実施方法

  • オン/オフ 電力サイクル-熱電冷却器を治具に設置し周囲条件を設定し一定のサイクルで電力を交互にオン/オフする。レアードサーマルシステムズは、最大5000サイクル以上テストできる 
  • 逆電力サイクル –正負の電力条件を急激に変化させることで熱電冷却器に熱応力をかける。加熱・冷却を交互に繰り返すPCR検査でよく使われる。レアードサーマルシステムズは、0~120℃の温度範囲で最高20万サイクル以上までテストできる。
製品が生き残れるかどうかを測るためによく使われる。目的は、意図した応用での最悪温度条件をシミュレーションすること。


テスト実施方法

熱電冷却器を動作させない状態で高温と冷温に晒す。モジュールが一定期間、冷却と加熱を繰り返すことから収縮し伸長するため、熱電冷却器を機械適応力に晒すことになる。

 

性能試験

 

レアードサーマルシステムズは熱電冷却器全製品の性能試験を行い、期待通りの冷却能力を提供できることを確認している。真空温度差試験は、電流・入力電圧を測定する。


テスト実施方法

  • 熱電冷却器を真空環境で上に向けた面を冷却側にしてヒートシンクの上に置く。銅ブロックを熱負荷として冷却側に置く。 
  • 熱電冷却器に計算上のImaxまで電流を流すと最大可能温度差ΔTmaxを発生する
  • 熱負荷の電流を、高温側と冷却側の温度が同じ、すなわちΔT=0になるように変える
  • 最大冷却能力Qmaxは、熱負荷に要求される入力電力によって決まる

 

各種規格準拠

 

レアードサーマルシステムズは、規制の要求を満たし、環境に優しい製品を提供することをコミットしている。

当社の熱電冷却器は次の規格に準拠している:
  • RoHS - the Restriction of Hazardous Substances (特定有害物質の使用制限) 
  • REACH - the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (欧州)
  • TSCA - Toxic Substances Control Act (米国有害物質規制法) 
  • CA PROP 65 - Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act(安全飲料水および有害物質施行法:米カリフォルニア州)

当社の環境及び安全作業の詳細をお読みくださるか、ここの製品準拠認定を御要求ください。

 

厳しい環境で動作する熱電冷却器は、製品の信頼性を確認するためテルコーディア規格の一般要求(GR)を満たすことが求められている。テルコーディア(旧ベルコア社)は技術解析やテスト法、コンサルティングサービスを、通信市場で製品サプライヤーとサービスプロバイダーに提供している。

他の市場では業界規格がないため、マシンビジョンや自律化、光エレクトロニクスの応用のような重要な市場で使われる製品の信頼性試験では、OEMはテルコーディア規格を採用している。  

レアードサーマルシステムズは、最新の独自テスト装置と手法を使い、テルコーディアの要求を試験している。当社の試験チャンバは、ほとんどすべての環境をシミュレーションして輸送や動作時、保管時の潜在的な影響を評価できる。

当社と技術部門に連絡すると、テルコーディア規格に従ったテストプログラムを提供してくれる。.

 

生産ライン終了試験

 

ACRすなわち AC抵抗は、製品の信頼性をチェックする時の主な基準の一つ。顧客仕様の初期値からACR値が大きく低下したら熱電冷却器は損傷受けている可能性がある。AC抵抗の測定は、熱電冷却器が期待される性能を持っているかどうかを確認できる簡単な測定法である。
赤外線放射を検出することによって、熱イメージングカメラは熱電冷却器の潜在的な問題のありかを特定できる。熱イメージングカメラは次のようなことに使われる;
  • デバイス全体の温度の均一性を確認する 
  • 熱電モジュールへのはんだ付けがうまくいかないようなホットスポットを同定する 
熱電冷却器は、高品質製品の供給を確実にするため以下に示す基準から目視でチェックする:
  • 印刷で描かれた寸法が正確であること 
  • ハンダボールのような形状不良やTE素子のクラック、セラミック基板のクラック、腐食、きれいなハンダ接続などがないこと 
ハイポットあるいは絶縁耐性試験は熱電冷却器の絶縁性が十分で、通常の動作電圧条件でリーク電流がないことを確認する。