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医療用レーザー冷却の応用に向けた熱電冷却器とアセンブリ

はじめに

医療用レーザーは病院や外来手術センター、内科医のオフィスなどで使われるように設計されています。レーザーは切断や融徐、凝固などの特性を正確に、しかも本質的に血液を流さない手順を結び付け、周辺組織への熱損傷を最小限にして、時間をかけて回復します。また、レーザーの熱を通してその組織を消毒し、感染につながるどのような微生物も破壊します。医療用レーザーは医療の治療応用に価値がありますが、動作時にはレーザー性能に影響する無駄な熱を発生します。メーカーもまた熱管理設計の問題、すなわち温度安定性や騒音の制限、スペースの制約、消費電力の削減といった問題にも直面しています
 

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医療用レーザーは大量の熱を発生するため、敏感なレーザー部品から熱を逃がす必要があります
 

応用冷却要求

レーザーは、その最大性能に影響を与える無駄な大量の熱を生じます。レーザーが発生する熱は、医療用レーザー応用によって異なりますが5Wから150W以上にも及びます。最適な性能を発揮するためには、室温環境で周囲温度が揺らつく可能性はありますが、レーザーには20°C ± 0.5°Cという安定な動作温度が求められます

熱的安定性は、特に難しいのです。医療レーザーの大きさであるフォームファクタに制限があるからです。携帯型レーザーを小型化すると、エンジニアは、電子回路をもっとコンパクトな大きさに詰め込むようにします。もっと多くの電子回路は機能を増やします。しかし、皮膚を冷やすことと皮膚の治療を組み合わせるようにすると、熱管理ソリューションの複雑さが増し、この結果、熱制御部品は、先進の熱管理技術を提供し、時には多数の冷却ループと共に、厳しいスペースの制約を通しての熱放散のルートを提供しなければなりません。これが携帯デバイスとして長寿命を確保するために、部品も衝撃や振動に耐えなければなりません。動作コストをもっと減らすためにより低い保守の熱管理ソリューションが好まれます

レーザーを冷却するという問題に加えて、典型的には患者の表皮を守るために皮膚の表層も冷やし、熱による損傷を防ぎます。この冷却は冷たいものに接触して冷やしたり、冷気を吹き付けたり冷媒のスプレイによるダイナミックな冷却を使ったりします。接触冷却は、皮膚を冷やすのにベストな方法だと考えられています。もっと洗練されたレーザーシステムだと、組み込まれた接触冷却デバイスを特長としており、痛みと紅斑を少なくし施術中の患者の苦痛を和らげます。

下の図は、代表的な熱電冷却器がどのようにして医療用レーザーを冷やすのに使われているのかを示しています。熱電冷却器は二つの熱交換機で挟むように実装されています。冷却側では、冷却ブロックを使って界面の材料と共に熱電冷却器に接続します。冷却ブロックはそのあとレーザーとしっかり機械的に接触させます。スペースの制約により、液体による熱交換器が高温側で使われ熱を外の周囲環境へ排出します。湿気による結露を防ぐため、絶縁材料を熱電冷却器のキャビティに使い、高温側から低温側へと熱の移動を絶縁します
 

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熱電冷却器

熱電冷却器はペルチェ効果を通して放熱するための熱交換器が必要な固体のヒートポンプです。動作中、直流電流が熱電冷却器に流れ、熱輸送を生じ、セラミック表面を横切る温度差を生成しますので、熱電冷却器の片側は冷たくなり、もう片側は熱くなります。シングルステージの熱電冷却器は最大70°Cの温度差を生じ、最大150Wの割合で熱を輸送します。ヒートポンプ容量を大量に増やすために熱電冷却器のモジュラー設計は、TEアレイと呼ばれるように多数の熱電冷却器をアレイ状に並べることができます。

熱電冷却器は、電気的に絶縁材料として働く二つのセラミック基板で出来ており、p型およびn型半導体をパッケージしています。電子がp型の低エネルギー準位からn型半導体の高エネルギー準位に移動するのにつれ、電子は冷たい接合部分で吸収されます。高温接合部では、電子が高エネルギーから低エネルギーへ移動するのにつれ、エネルギーがヒートシンクへと放出されます。
 

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極性を反転させると熱の移動方向が変わります。熱電冷却器は無負荷状態で最大のパラメータ(ΔTmax, Imax, Vmax, とQmax)で評価します。定常状態では温度制御誤差は±0.01°Cになります。6段階で-100°Cまで冷やし、1平方センチメートル当たりの最大15Wの熱を汲み上げます。熱電冷却器をアレイ状に配線すると最大の排熱容量が得られます。これらの寸法は、2×2mmから62×62mmに変えられ、抵抗加熱よりももっと多くの加熱モードで効率をもっと高くできます。厳しい寸法のスペースの制約にも合わせることができて、もっと大きなコンプレッサベースの冷却システムでは収容できないような向きにも設置できます。熱電冷却器は信頼性が高く、動作中の騒音が少ないので、医療用レーザーのような振動のある応用にも適しています

レアードサーマルシステムズのセラミックプレート(CP)シリーズは、堅牢で、コンパクトに設計された熱電冷却器で、携帯型の美容レーザーのような大電流の排熱能力の高い応用に向いています。CPシリーズはレーザーに隣接して配置され、直接から空気の構成で最大120Wの冷却パワーを発揮します。その温度差は最大70°Cで、62mm×62mm×4.6mmというフォームファクタです。CPシリーズは、広範囲の排熱容量や寸法形状、入力パワーレンジで入手できる選択肢があり、携帯型レーザーの要求を満たします
 

CP-Series

レアードサーマルシステムズのCPシリーズは最大120Wの冷却パワーを提供します

 

最大299Wの排熱容量を持つUltraTEC™ UTXシリーズ熱電冷却器は医療用レーザーシステムを過熱から守ります。UltraTEC UTXシリーズは、先進の熱電材料を使うことで、標準的な熱電冷却器と比べ排熱容量を10%高めました。熱絶縁バリアが高いことが特長で、最大温度差は72°Cもあります。UltraTEC UTXシリーズの熱電冷却器は、排熱密度が高いだけではなく、± 0.01°Cという正確な温度制御も特長です。
 

UltraTEC-UTX

レアードサーマルシステムズのUltraTEC UTXシリーズは69~299Wの熱を排出します

 

熱電冷却アセンブリ

熱電冷却アセンブリは熱電冷却器を利用して、熱を空気や液体、伝導などの方法で輸送する冷却加熱システムで、温度コントローラも搭載しています。熱電冷却器は、医療用レーザーに使われる熱に弱い部品の温度を安定にするため、周囲環境で生じたパッシブな熱負荷を取り除きます

熱電冷却アセンブリは、コンプレッサベースの冷却システムのような他の技術と比べ、効率良く、安定で、信頼性高くメンテナンスフリーでコンパクトな形状で正確な温度制御をもたらします。加えて、熱電冷却アセンブリは環境にやさしく、冷蔵庫にあるような冷媒は使いません。可動部分のない固体構造を特長としているため、熱電冷却アセンブリは、小型形状で低消費電力で低熱負荷、騒音もなく信頼性高く動作します。熱電冷却アセンブリは、どのような向きにでも設置できるため、組み込むときにフレキシビリティがとてもありま。

レアードサーマルシステムズのTunnel、PowerCool、そしてSuperCool Xの各シリーズは、医療用レーザー応用向けの冷却要求に合うように特別に設計されています。SuperCool Xシリーズは、独自の特許を取得した設計になっており、高性能の高温側のヒートシンクを提供し、競合の熱交換機技術よりも熱を素早く、そしてもっと効率良く放散しますので、冷却性能を最大90%向上させています。この装置は、直流24Vで動作し、110~407Wの排熱容量を持つ、空気から空気へ、直接接続から空気へ、そして液体から空気へ、という三つの構成で入手可能です。小さなフォームファクタの設計はカスタム仕様の熱電冷却器を利用し、冷却能力を最大限にし、騒音を小さくするためのプレミアムグレードのファンを使っています。一方、優れた耐湿性の絶縁材料は、結露がチャンバ内に浸透しないように防止しています。

新しいSLA-400 SuperCool X熱電冷却アセンブリは、このサイズで業界最大の冷却能力を提供しています。SLA-400の液体から空気への構成はフレキシビリティが大きいのですが、それはレーザーと患者の双方を冷却している間、分離用の冷却ループが必要ないのでスペースができる場所に取り付けられるからです。

SuperCool-Series

SuperCool Xシリーズの熱電冷却アセンブリは、110~407Wの冷却パワーで、空気から空気へ、直接接触から空気へ、そして液体から空気へという3構成で提供します

PowerCoolシリーズは20~280Wの冷却能力を提供します。空気から空気へと、直接接触から空気への構成で入手可能です。乱流を使って高温側の熱を放散します。空気から空気へのアセンブリ構成は、対象物を対流で冷却し、熱はファンとダクトシュラウドを備えた熱交換器で吸収され放散されます

PowerCool-Series

PowerCoolシリーズは空気から空気へと、直接接触から空気へのバージョンがあり、20~280Wの冷却パワーです

 

Tunnelシリーズは、特許取得済みの高性能な直交流技術を使い、熱交換器を通して空気を引くときに熱輸送を最大にします。この直交流技術は、従来の乱流アセンブリと比べ、必要な気流の経路数を減らします。排熱動作は、熱電冷却器によって発生します。この熱電冷却器は、消費電力を最小にするために高い性能係数が得られるようにカスタム設計されます。フォームファクタが小さなTunnelシリーズは、100Wを超える冷却能力を持ち、広範囲な冷却応用に対応します。Tunnelシリーズは直流12Vか24Vで構成され、対流(空気から空気へ)か、伝導(直接接触から空気へ)技術のいずれかで冷却します

 

Tunnel-Series

Tunnelシリーズの熱電冷却アセンブリは、10~100Wの冷却能力を持ち、空気から空気への構成と、ty苦節接触から空気への構成で入手できます



結論

熱電冷却器とアセンブリは医療用レーザーシステムの性能を最大に維持するために温度を安定化するための好ましいソリューションです。ペルチェ効果を通して、熱電冷却器は信頼性の高い固体動作を行うため、メンテナンス要求が低く全運転コスト(TCO)も低く済みます。熱電技術はフォームファクタが小さいため、スペースの制限が問題となるような最新の医療用レーザーの設計を受け入れることができます。冷却能力が十分であるため、レーザー装置の内部部品を冷やすことができ、冷却ソリューション全体を簡単にできます。他の冷却技術では加熱と冷却を複雑にせずに達成することができません

SuperCool Xシリーズの詳細は以下をご覧ください https://lairdthermal.com/ja/products/thermoelectric-cooler-assemblies/peltier-supercool-series

SuperCool Xシリーズの詳細は以下をご覧ください
https://www.lairdthermal.com/ja/products/thermoelectric-cooler-assemblies/peltier-power-cool-series

Tunnelシリーズの詳細は以下をご覧ください
https://www.lairdthermal.com/ja/products/product-series/tunnel-series